阪 弁天町 にあるサウンドバー吟遊詩人で LIVE DRAW が行われました。今回は、マスターのジャン氏からお招き頂いての開催となりました。

題名は「風景のミエル音楽会」

音楽から風景を感じるためのイベントで、絵も重要な役割を科せられていました。なにせ、お客さんがどんな風景を感じて楽しめるか、絵の影響で変わるかもしれないからです。普段とは少し立場の違う今回のライブドロウはとても素晴らしいものになりました。

 つものように、薄暗い関西汽船のビルを入ると、まだ開店前の吟遊詩人に足を運びました。丁度リハーサルのタイミングだったようで、急きょ出演が決まった匠(たくみ)さんがボーボーと長い筒をしっかりと握って吹いていました。なんという名前の楽器だろうか。直径15センチくらいの竹のようにも見えます。真ん中をくり貫かれた木かも知れません。ゆっくり吹くと民族音楽のようになり、早く吹くとJUNO REACTOR(ジュノ・リアクター)の曲に出てきそうなリズムと音に。ダンスミュージック、エレクトロニカ、の雰囲気を出す不思議な楽器でした。循環呼吸?吐くのと吸うのが同時に出来る呼吸法で吹いているらしく、途切れる事の無い重低音がもの凄いエネルギーを放ってました。

これは、本番がかなり楽しみだなと、私も絵の準備をし始めました。

始まる頃には、友人も来て下さいましてほんとに嬉しかったんです。もう、どう言葉をかけたらいいか分からなくなるくらい感激していました。

NO,1

〜灼熱の街と緑の嵐〜

[music : 匠(タクミ)]

 耳をすませば、お経の様にも聞こえる。遠い景色、風でまいあがる砂、固い石で出来た建物。蜃気楼のむこうに人ごみが。ふと舞い降りた異国の地。何が起きるのか、冒険と探究心が深い振動の向こう側を見つめている。音の振動。ここまで音が体を震わせたことがあっただろうか。自分の武者震いだろうか。怖くて震えている振動だろうか。ゆっくり吹かれる筒から、吟遊詩人が包みきれないほどの重低音とリズムが吐き出されていました。

NO,2

〜青い空洞〜

[music : 青色大麻虫

アオイロオオアサムシ)]

 真っ青なドレス、民族衣装?、に身を包んで登場したハチスさん。床に座り込み、なにやら本をペラペラとめくりだす。顔は黒髪に覆われ、半分見える頬が光るように感じる。静かに声を出し始めると、そこはもうハチスワールド。プログラミングサウンドによるささやき声の波がエコーのようにこだまする。最初にどこかの国の言葉で詩を朗読し、それがサンプリングされて、次に語る日本語の言葉に奇麗に重なる。カヒミカリィやビョークに似た雰囲気だが、全く違う。透き通る声にメロディが乗ってくる。辺りが凄く透き通ってきた。氷の世界、もっときめ細やかな繊維のよう。流れる清流は美しすぎて、生き物が生息できないのだろう。濁りも香りもない。ただ、響く氷のような歌声と、ときおり聞こえる水のせせらぐ音が満たされた空洞。その美しさを描き止めていかなければ。美しい記憶はガラスのように繊細で壊れ、消えやすいから。はやく、少しの変化も見逃したくない。すべてを描きたい。

ミュージシャンの服装や雰囲気にインスピレーションを受ける事が多くあります。今回はそれがよく現れました。それが、普遍的で面白くないと捉えられる方もいらっしゃるでしょう。人の第一印象と音楽の最初の音はおなじで、そこからすべてのイメージが始まります。低い音から始まれば、その後に来る高い音にギャップを感じるでしょう。そういう意味では、聞く側からすればビジュアルも重要なのです。

NO,3

〜舞踏〜

[music : 平魚泳]

 旅人。まさにそんな言葉が似合う平魚泳さん。ジャンベという楽器を叩きながら全国を旅しているようで、旅の途中の話は尽きない。独特の”間”のある唄、田んぼ、森を思わせる空気。村の祭りを思い起こさせる、真っ暗な中の明かり一つ。寂しさの中に暖かさがあります。

ウクレレも得意なようで、時に激しく、時に優しく弦を弾きます。軽い麻のような布に身を包んだ平魚さんは、まさに村の神様。踊りと、祭りと、お酒が大好きで、自然も大好き。そんなイメージが、次第に形になっていきます。シャララシャララとお祭りの神様の足音が遠くから聞こえてきそうな、雰囲気。吟遊詩人の独特の空気がより一層ムードを高めます。

 イベントの最後に、平魚さんと物々交換をした。絵とCDと。どちらも何かを伝えるために自分で作った作品。なにか、嬉しい感じがしたのを覚えています。

CDの中には、色々な場所でレコーディングを行った唄が入っていました。田んぼの真ん中で、カエルの鳴き声や風のそよぐ音と一緒に。

NO,4

〜モノメトロ〜

[music : 花村容寛と中島直樹]

 インストゥルメンタル、ハーモニカとウッドベースが、琥珀色の音楽を奏でます。

土曜の午後、ワイン片手にゆっくり浸りたい。落ち着いたリズムに、心が躍ります。古びた街の湿った空気、静まり返った路地。壁の向こう側から聞こえる、笑い声。はかない鼻歌に酔いしれながら、軽くタップを踏み、向かうのはいきつけのバー。そんな、人生の集大成ともいうべき風景が浮かびます。

何とも言えないまったりした時間が漂い、まるで目の前で何かの喜劇が繰り広げられているような感じ。何も余る事の無い白と黒の世界。

唯一、色が吹き出しているのは、心のともしびか。雨上がりの夜道を一途に照らし続けます。

最後に、ミュージシャン全員が集まり、セッションをやってくれました。バックに描き上がったばかりの絵を置いて。

こんなサプライズも吟遊詩人ならでは。マスターのジャンさんも終始笑顔で見守ってくれます。

 最後に絵のオークションを開催し、おかげさまで完売いたしました。音楽が刺激となって出来る事。沢山ありますが、私に取っては、絵を描く事、想像を膨らませる事、いつもより数段感覚が研ぎ澄まされる。これは、音楽にしかできないと思える。そんな中で生まれていく絵を、誰かの記憶の片隅に、思い出の一枚に、いかがでしょうか。

最後になりましたが、今回「風景のミエル音楽会」にご来場頂いた方々、通りすがりの方、素晴らしい音楽を奏でて下さったミュージシャンの皆さん、そしてマスターのジャンさん、本当にありがとうございました!又、風景が見たいときはいつでも呼んで下さい。

Infomation

サウンドバー 吟遊詩人

〒552-0007 大阪市港区弁天6-7-15加藤汽船ビル1F

TEL / 06-6599-0560

Mail / soundbar@taupe.plala.or.jp

青色大麻虫 Official sit http://www.doblog.com/weblog/myblog/10209

平魚泳 Official sit http://www.ne.jp/asahi/aozora/record/sakana.html

Gadget Official sit http://www.sentakuita.com/

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