阪 西本町にある Flou Galleryで行われたハコグラフ[香る]〜ヨバレタ キオク ヨブ カオリ〜をご紹介致します。学生時代を共に過ごし、現在は自宅もご近所という二人が繰り広げる異空間は、不思議と懐かしい後味だったのです。写真家 谷口さんとアロマテラピスト 片岡さんが写真と香りのコラボレーションを上手く昇華させていました。

 実は私もこの個展の構想段階から参加させて頂いていました。参加と言っても、たまに意見を言うだけでした。小さなスケッチブックに二人の思いがメモされていく様子は、それ自体が芸術的でした。メモ展みたいな事もできるかもしれません。話がそれましたが、二人の発作的な個展開催の夢がゆっくりと確実にカタチになっていく様が、そばで見ていた私にはとてもパワフルに見えたのです。

 「これは、面白い内容になるかもしれない・・・」そう感じ始めたのは、最終的な会場の見取り図を見せ頂いた時した。人がどう歩くか、香りは届くか、写真の見栄えはどうか念密に頭の中でアイデアを練って、それが細かなペンの動きとなってスケッチブックに映し出されていました。「絶対成功するよこれ」私はそう確信しましたが谷口さんの表情は悩んでいる様子でした。自信を持って大丈夫ですよ」と精一杯の笑顔で励ましたつもりですが、そのと時は不安と緊張が辺りを包んでいました、

 展初日、フロウカフェの入り口にある階段を上るとおめかしした二人が出迎えてくれました。小さなポラロイドカメラで記念写真を撮ってもらいいざギャラリーの中へ。

 どういう風に完成したのか少し心配になりながらギャラリーの中に入ると、明かりは程よく灯されていて奥にある写真集と六つの台座が上手くレイアウトされていて神秘的でした。これは、前に見せて頂いた配置図(スケッチ)とほぼ同じレイアウトでした。「目標がきちんと形になっている、すごいな」 入ったばかりなのに、沢山の苦労があったんじゃないかと勝手に感動してしまいました。

 り口に一番近い台の上には、五つのガラスのハコが並べられていて、中には香りがしみ込んだ木片が入っていました。それぞれ香りのテーマがあるらしく、漢字一文字でそのイメージを表現していました。

 約1センチ四方にカットされた木片は、これまた小さな小さな小袋に入れて持ち帰れるようにしてあるのです。その袋の中にも漢字の一文字を描いたプラパンを入れてある凝りようです。来て下さった方への心配りと、真心がヒシヒシと伝わってくるようでした。女性のなせる技でしょうか、正直ここまで考え抜かれているとは思ってもいませんでした。さすが、我が先輩ってかんじで誇らしい限りです。勉強させて頂きました!

 題の写真とアロマのコラボレーションはというと、ロウで出来た約20センチ四方のハコのてっぺんに小さな穴が開いていて、そこから中の写真をのぞくというものです。覗いている時にはその写真のイメージに合った香りがほのかに香ります。丁度鼻がくる所に極小の穴が開いていて、そこから香りが漏れてくるという仕組みになっていました。穴から写真を覗くと、どこか懐かしい感覚を覚えます。それは、目を閉じて昔を思い出すときのように、ぼんやりとした風景に次から次へと記憶が蘇る感じに似ています。一部しかはっきり見えなくて、他はぼやけて見えるのです。そのために、ジックリと写真を眺める事になり、細かな風景の様子や被写体をしっかり見れるのです。何気ない風景写真も、そのときの木の暖かさ、風の流れ、空気の揺らぎが感じれるのです。簡単な仕組みだけど、ダイレクトに感情に入ってくる写真の見せ方ではないでしょうか。

 なにより、香りがバッチリ記憶を呼び覚ましてくれる所が感動なのです。うまくブレンドされたオリジナルオイルは試行錯誤の末生まれたもの。片岡さんのセンスの良さを感じます。木や草、森林や澄んだ空気を香りで表現する様は、まさにアートと言えると思います。 どうやら科学的な観点からも脳や体への作用を考慮してあるようで、アロマの可能性を垣間みた瞬間でした。

 後に、一番奥に飾ってあったのは小さな写真が集まった大きな写真集でした。今まで撮りためていた日常の風景が、一気に放出された感じです。出かけた先で、気になったものをデジカメで撮る。それが溜まると絵日記のように物語が出来上がってきます。もちろん見る人によって感じるものは違うと思います。それでいいのです。谷口さんは自分のブログにも日常の写真をコメントを交えて紹介しています。個性的な構図の写真と、お茶目なコメントを味わいに毎日沢山の方が谷口さんのブログに訪れているようです。私もファンの一人です。(現在は写真の公開はしていないみたいですね。)

 こうやって目の前いっぱいに写真が広がると、圧巻というかなんというか言葉にするのが難しいですね。思い出の犬の写真もあります。そして、ほぼ毎日仕事が終わってから、ギャラリーに足を運んでいた二人の気力にも圧倒されます。個展最終日には、知人が大勢集まって打ち上げパーティーも行われました。個展をやり遂げて、全員に挨拶に回り、心身ともにだいぶ疲労がたまってたのではないでしょうか?そして搬出する時にには、真っ白なギャラリーに沢山の花束と、来て下さった方のポラロイド写真があふれていました。「お疲れ様でした。」小さな車に荷物を目一杯積み込んで撤収です。とりあえず今回は幕を閉じましたが、次はどこでハコグラフが開催されるのか楽しみですね。 

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