阪 心斎橋 船場「クラブマーキュリー」と、兎我野町にある「梅田ハードレイン」で大阪花火が開催され、TERAによるライブドロウが行われました。3日間、2会場で今年の夏最高の花火が炸裂!

 テハンノの浅田さんが主催する音楽イベント「大阪花火」は今年で4回目を迎えます。最初、個人で主催しているイベントだからそんなに大きくはないだろう。緊張も心配するほどしなくて済みそうだなと考えていました。まさかここまで多彩だとはつゆ知らず。

 ほどイベントの規模は大きくないかもしれないけど、とりあえず会場はいつもより広いらしいという情報だけは耳にしていたので、大きめの絵にトライしようと考えていました。心斎橋にあるハンズに画材を仕入れにいきます。何分悩んだのだろう。B1がいい、このくらいの迫力が欲しいな、でも予算が厳しい。三日間描き続けるのだから大きいキャンバスであればなおいいが、値段は跳ね上がります。

 少し前に、程よい大きさのイーゼルをチェックしていました。今の折りたたみ式のは、壊れてきていたのでイーゼルも新調したかったのです。そうなると、キャンバスに贅沢は求められません。悩みに悩んだあげく、大きさも値段もそこそこのA1サイズにやっと決まりました。イベント開始2時間前でした。

 両手一杯に荷物をもってひょこひょこ会場に向かいました。場所は心斎橋、船場にあるクラブマーキュリーです。行く途中では、不安と興奮が頭を駆け巡っていました。下見もなにもなしのぶっつけ本番です。舞台に立ったりしないものの、沢山の人に応援してもらっていたし会場ではみんなの目に触れるのです。三日間も。そりゃどんな絵にするか考えておくのは重要です。しかし、まったく何もイメージが浮かんでこなかったのです。今日はヤバいかもしれない。会場に近づくにつれてどんどん緊張も増してきていました。

 クラブマーキュリーの看板が姿を現しました。着いてしまった。全然心の準備ができていないまま、らせん階段を降りていきました。地下には、リハーサルを終えたミュージシャン達がタバコを燻らせていて、怪しげなムード。軽く頭を下げながら、重いライブハウスの扉を開けました。本当は焦って顔を上げていられなかっただけなんですが・・・。すでにイベント開始1時間前になっていました。

 ットドッグのいい匂いが、ハコの中に充満しています。ハンナさんがお友達?の方と出店を開いていたのです。これぞ祭りって感じです。お客さんもそれにつられるように、続々と入ってきました。レイアウトは、ステージ前にブルーシートが敷かれ、後ろの方はスタンドバーになっていました。丁度その間の、ホットドッグ屋さんの隣にスペースをもらい、急いで支度をします。テーブルに鉛筆やらパステルやらを並べ、キャンパスをイーゼルに乗せます。

 あら?ちょっと・・・大きすぎたかも・・・。空間はそこそこ広いと言うものの、やはりA1サイズのボードと、パネルはかなりのスペースを要します。かなりお客さんの邪魔になってます。こりゃマズい・・・。スミマセン、スミマセンと言いながら、なんとか存在をアピールしておこう、ライブが始まったら何が起こるか分かりませんから。人が飛んできたりしますから・・・。

 なんとか、場所を確保して、さあいよいよはじまるぞ!よし、手始めにこの弾けんばかりの雰囲気をカメラに収めておくか!・・・あちゃ!!やってもた!!

 こともあろうに初日はカメラを忘れて来ていたのです。

 まあ、絵に専念出来るか・・・と強引に開き直ったものの、やぱり絵の仕上がり具合が記録出来ないのは痛い。それに、ライブの様子もみんなにレポートしたかったのに。あ〜こういう悪いクセ治らないかね〜。ライブが始まる数秒前まで、一人でうなだれていました。

 の凄い勢いで、ライブが展開していきます。急にはじまるんです。色メガネさんから、ハイジャックさんまでの間は無心でキャンバスに向かっていました。(途中、唖然として放心状態の時もありましたが・・・)耳はステージからのメロディをキャッチし、皮膚は空気の振動を敏感に感じ、目はキャンバス上にイメージのシルエットを浮き上がらせていました。頭の感覚と手の感覚が直結します。どんな線でも、色でも迷いはありません。ただ、感じる風景をリズムよく描き留めていきました。音楽に置いていかれないように。

 キャンバスの左上からどんどん埋まっていきます。ポップなカラーとあり得ない世界が浮かびます。かと思いきや、ブルースの世界に。灰色のビル、反射する曇り空、夕闇の静けさ、夜の足音、忍び寄る孤独、人の群れ、光の残像。左下にビルと人が哀愁を漂わせていきます。音楽は素人ですが、いい音と歌声だというのは分かります。一応音楽が好きですから。今回登場するミュージシャンの技量は下手なプロを軽く超えてえていると思います。ただ、いわゆるデビューをしないだけなのです。浅田さんはほんとにいい音楽を集めるな〜とあらためて関心していました。

 そして、超ハードロック、テキサストミーさんが登場! この目の前に展開される光景はなんだ・・・ほんとにテキサスから馬でやってきたロックスターのようだ。かき鳴らすギターはもう20年くらい使い込んでいるモノらしい。色ははげ落ち、木もこすれてもはや原型を止めていない。しかし、そこから発するリズムは爽快絶叫。そして、何より正確だったのです。体の一部のように正確にギターを操っています。スピードは果てしなく加速していきます。ほんとに人間なのでしょうか。あの手の動き・・・ヤバい!描くの忘れてる!! そう思った瞬間からとんでもない事に・・・・

 こともあろうに、極太の鉛筆で街の部分を線が覆い尽くしていきます。ああ、もう誰にも止められない〜。トミーさんのイメージはこんなもんじゃない!もっとハードだ!地獄のような風景なはずだ!!暴走に近い状態までいっていました。気がつくと、二日目で使う予定だったキャンバス右半分に獣が・・・あああ、明日描く所無いやん。ほんとはもっと塗りつぶしたかったのですが、ここは大阪花火を表現する事に重点を置いて、トミーさんのイメージを最小限に止めました。キャンバス右下の黒い獣がその絵です。実は、この獣の下にも沢山絵が描かれていましたが、跡形も残りませんでした。

 なんてハードな一日だろう。19時から始まり24時近くまで唄いっぱなしの描きっぱなし。5時間も集中して描き続けた事は今までありませんでした。こんなに絵に集中出来たのはやはり、このとてつもなく良質な音楽の力だなと感じました。

 二日目も楽しみにしながら、この後朝まで飲み明かしました。

一日目

[まだ無題]

2005、木製パネル、ケント紙、パステル、鉛筆、木炭

A1 594mm×841mm


出演 ミュージシャン紹介

色メガネ

比叡山

Goose Goes South

The Alan Smithy Band

THE HARPER ST.BAND

ハイジャック ミリオンセラーズ

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