日目は20組のミュージシャンが登場しました。なので、開始時間は早めの15時です。この日が一番壮絶だったかもしれません。15時から24時までゆうに9時間も騒ぎっぱなしだったのです。

 三日間で絵を描き上げるという計画だったのですが、三日目の会場のスペースがかなり狭いとの情報を得て、この二日目で完成させる事に変更しました。助かったというかなんと言うか、もうすでにキャンバスの3分の2を塗りつぶしていたので、このままこの上から描きたしていくのは酷な話だったのです。ライブの中で大きいキャンパスの中に描ききれなかった小さな絵をいくつか描いたのですが、これも追々紹介していきたいと思います。

ちなみに、二日目もばっちりカメラを忘れてきていました。

 を具体化する作業は、意識的にできる部分と無意識でしかできない部分があります。ライブが始まってイントロが鳴り始めると、一気に意識は想像の世界へ突入します。まず空気が見えます。全体の色合いがそれです。そのあと、背景の様子が見えてきます。この時点で、絵のイメージは半分決まります。ほんの少しの音楽で全体像は決まるんです。後の半分は、ミュージシャンの衣装や振る舞いから得るインスピレーションと、曲で成り立ちます。弾き語りなどは一般的に約3〜5分くらいしか演奏されませんが、1曲をイメージして描くには少なすぎる時間です。しかし、ライブドロウの場合はたくさんの曲を一つの絵にするので、1曲を絵の一部として描くのです。最初に見える背景のイメージに、一曲一曲描きたしていきます。そうする事で一枚の絵が完成します。

 30分くらいで一枚の絵を完成させますが、まれに描き足りない事や意識的にイメージを装飾しすぎてしまう事があります。それは、曲からはっきりとしたイメージが浮かばない事が原因です。これは、私のキャパシティの問題でもあるし、一方で何も感じない曲が存在するという問題でもあります。ライブドロウを行ってきて分かったのは、いいミュージシャン、いい曲はすぐにイメージが湧き、どんどん膨らんでいくという事です。

 無意識のうちに絵が完成する。まれにこういう不思議な体験をする事があります。この時頭の中は真っ白なんです。ですが、キャンバスには色がどんどん溢れてきます。このなんとも言えない不思議な感覚を不思議だと感じている自分がいるんですね。この状態に入ったとき、迷いというものが消え、手が勝手に線を描き出すんです。いいか悪いか判断しながら描かないので、描くスピードは速くなり、しだいに曲のメロディに合わせて手が動くようなるんです。

 自分の意識を超えた瞬間です。自分という存在を後ろから見る自分になれるのです。無意識に絵を描く自分を「ふんふん、なるほど、そう発想してきたか〜やるな〜」と眺めているんです。こういう状態で描いた絵は間違いなくすばらしいものになります。大阪花火で描いた絵は、まさにこれです。

 AんNAさんは、テハンノで初めて出会いまして、ドリンクをオーダーするといつも持ってきてくれるてとても和む方だな〜と感じてました。今回歌を歌うとは知らなかったので、びっくりしました。ミュージシャンだたんですね、てっきりバーテンだと思ってました。

 そしてその温かなムードがそのまま音になった、すてきな歌の数々。もうすぐお母さんになるという事で、お祝いムード一杯の会場で泣かせてくれました。ライブで号泣するのは初めてなモノで、戸惑いましたが今でもあのこみ上げる感情は覚えています。下の絵はその時描いたものです。真っ暗なライブハウスの中で、涙で屈折する光を頼りに、暖かいものを描きたくなりました。

 これもほぼ無意識で描いた絵です。陽気な気分の無意識状態です。題名は「Rock」無機質な世界に情を吹き込む様子でしょうか。大阪花火4に描ききれなかった世界がここにも存在します。

 これはミュージシャンやセットを入れ替えている空き時間に描いたものです。会場の沸き上がるエネルギーと、高まっている自分のテンションを使っていつも描いてる絵を描いたらどうなるか、試してみたくなったのです。いつもより迷いがなく、一本線を描くたびに「次はどこに線を描く?どう描く?」と問いかけながらズバズバ気持ちよく描けました。また、モノクロの世界にいったん入る事で、色数の覆い大阪花火4に新鮮な気持ちで向かう事が出来たのです。題名は「3014」です。

 ンサムリーの真夜中のブルースからはじまり、百姓すの平までいろんなジャンルの上手い音楽が満載でした。それぞれが個性的であり、場違いでもない。一枚の絵の中に、様々な色があり、形が込められているように。全員がステージというキャンバスの上で、鮮やかに色彩を振り撒いているようでした。

なんでカメラを忘れたのか、そればっかりが後悔として残ります。

 そして、ライブが終了すると同時に、絵も完成しました。ステージの上までキャンバスを抱えて走りました。どういう反応があるのだろう、全く反応が無いかもしれない。少し心配になりながらも、絵を頭の上まで持ち上げ、完成を宣言しました。

「これ題名はなに?」

まさかの質問でした。題名なんて当然考えながら描くものだとお思いでしょう。しかし、この時の私は、この絵に沢山の想いが込められているのに、一つの名前を付けるという事が出来ませんでした。しばらく沈黙があったあと、

「えー、名前は、まだ考えてません!」

と言ったと思います。そのすぐ後にぱっと思いついた名前がありました、

「大阪花火」

今回のイベントの名前です。これしかない。このイベントのすべてを描いたのだから。しかも、4回目だから4を付けよう。「大阪花火4」これでいこう。火の粉が飛び散る花火でなくて、音の色彩が飛び散る花火。それが描くイメージの爆発。私はそれを見て映し出したのだから。カメラでも撮れない風景がその絵の中にあるのですから。

明日は最終日、もう一枚小さな絵を描きます。

二日目

[大阪花火4]ライブの最後に命名

2005、木製パネル、ケント紙、パステル、鉛筆、木炭

A1 594mm×841mm


出演 ミュージシャン紹介

ロンサムリーの真夜中のブルーズ

いくらちゃん

高柿たくろう

Canaria

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大島圭太

まひこ

HAんNA

みっちぃ→

サフラン

流山(カンキカイ)

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正樹

NOsite

浅田真央

うい

越名よしき

夜士郎

NOsite

木谷有

NOsite

沢田ナオヤ

筒井トシアキ

佐中康浩

百姓すの平