日目は場所を移して開催されました。梅田の中心街から少し離れた所にあるラブハウス・ハードレインは、赤い看板が目印。入り口は地下に降りる急な階段。木の扉を開けると、確かにマーキュリーよりも少し小さい空間があります。しかし、イスやテーブルがあって、バーカウンターも近くにあるのでアットホームな雰囲気。壁には無数のフライヤーが貼られ、歴史を感じさせます。数々のミュージシャンがここで散っていったのでしょう。

 は開始時間ギリギリに会場入りしたので、既に席はほとんどなく困ってました。自業自得ですが。幸い一番前の端の席が空いていたので浅田さんに案内して頂いて、慌てて準備をします。何するの?という様な顔つきでこちらを眺めるお客さんの視線を、いいプレッシャーという感じで受け止めながら、ガサゴソと昨日完成した大阪花火4を取り出します。

すぐトップバッターの百姓すの平さんのライブが始まります。前日のラストを飾った、バンド、というよりおもしろギターリストという感じの2人が一気に雰囲気を盛り上げます!関西のノリ、まったりした雑談が和やかなムードを作り出します。その間に、新しい紙を準備し、木炭で描き始めました。サイズは大阪花火4の4分の1です。

あっという間に、百姓すの平さんの演奏が終わり、少し休憩かと思いきや間髪入れずに次のクオレさんの登場です。なんだか大掛かりなバンドです。ちなみに、今日はしっかりカメラ持参です。

ても、静かな印象。透き通る歌声とキーボードの電子音が一体になっている。チェロやウッドベースという、今までの大阪花火では珍しい楽器も登場し、世界はおとぎの国。ここで一気に絵の雰囲気が変わります。どこまでも生い茂る深い森、真っ黒な空、いや、藍色、深い紺色の空。またたく星の周辺が淡いブルーに。森の中を流れる川。浮いているはウイスキーグラス。歌の旅人が月明かりの下、考え事をしながらお酒をたしなむ。そんな、濃厚なメルヘンの世界。

MCでは、なかなかコミカルなキャラクターで会場を沸かせてくれた、ボーカルの井波さん。水虫暴露トークはなかなか出来るものではありません。オチもしっかりあって芸人顔負けです。なぜか、いい時間ほどすぐに過ぎていくものです。

 3日目の絵、描き始め。まだ木炭でイメージを探っているところです。後ろにあるのは大阪花火4の絵。サイズの違いが分かると思います。

 づいて也許文吾(やもと もんご)氏による南の音楽。懐かしい風景を思い起こさせる歌は、絵を暖色に染めていきます。はるばる福岡からやってきた強者です。30ほどの国を訪問し活動しているとか。なんちゅう人でしょうか、力が有り余ってます。男らしいとはこの事です。

 るみる木が生い茂っていきます。木陰には動物達が顔を出します。小さいのから、大きいのまで、みんなが何かを出迎えるように。空には大きな月が、次第に色彩が注がれていきます。月夜の晩に川、ウイスキーの川を漂う情景。見た事も無い風景。↑

 そして、伝説のお百姓さん井上卓氏の登場。二日前までの会場、クラブマーキュリーで売られていたホットドッグ。3種類の味が楽しめたということで大人気だったのですが、その中に数量限定の幻のホットドッグ「ゴーヤドッグ」がありました。ソーセージの肉の味に上手く味付けされたゴーヤの苦みがバッチリ合い、今まで食べたホットドッグの中で一番うまかったです。3個くらい食べました。そのゴーヤを自家栽培しておすそ分けして下さったのが、井上氏です。 

ぱっと見た感じでは、気さくなお兄さんなんですが・・・ギターを持ったら豹変します。最前列に座っていた、控えめなお兄さん(おそらくクオレさんのファン)が、ほとばしる歌声と唾の餌食に・・・ああ、神のご加護がありますように。もう誰にも止められない・・・絶対酒のんでるよ・・・写真撮る暇なんてない。絵にも暗雲がたちこめます。怖い・・・恐怖心が・・・こんな場所でまさか恐怖心を抱こうとは、誰も予想していない!ヘルメタルです!もの凄い内容の歌詞なのですが、ほとんど聞き取れない、これは私の力不足としか言いようが無い。こういう世界がこの世にはあるのだ。最後にはそれを受け入れている自分が・・・またひとつ大きくなれた気がします。ありがとうございました(涙 

 あっけにとられて、止まっていた手を再び蘇らせてくれたのは、月下美人のお二人さん↓ああ、美しい音色、癒されます。眠たくなるような歌声に、絵の様子も徐々に平和を取り戻していきます。取り戻すという言い方は、井上さんの唄を否定しているように感じるかもしれませんが、そういう意味ではないのでご注意を。唄に是も非も無いのです。あるのは、唄という魂のみ。それが存在する限り意味があるのですから。 月下美人さんの唄は、まさに月下の宴にもってこいのメロディです。

 んどう氏は、おなじみの大御所。音楽業界が嫌いな様で、デビューはしていないもの、レベルは余裕でプロです。テハンノに関係するミュージシャンは、ほんとにレベルが高い。大阪花火に出演したメンバーは、いわゆるジャケ買いして大当たり!というメンバーばかり。大当たりばかりで凄いです。業界の方は必見です。絵もオレンジ色と紺色に彩られ、完成へと近づいていきます。いい音楽に囲まれて。

 ラストはマネーさん。↓浅田さんもメンバーに入っています。この方はいったいどれだけの人と音楽に関わってきたのでしょうか。想像もできません。自分の浅さと井の中の蛙っぷりを実感させられました。女性ファンが多いのにも納得。ここにきて、オーソドックスなロックを披露してくれました。なぜか新鮮に感じます。ラジを体操でいう所の最後の深呼吸でしょうか。ああ、これで終わるのだなと、この三日間を振り返る自分がいました。よくもまあ、三日でこんなに作品を作れたものだな。唄の力は私には無くてはならない存在になってしまいました。逆を言うと、音楽なしでは絵が出てこない固い頭とも言えます。この先、どうなることやら。

 ほんとにお疲れさまでした。最後にまたみんなの前で絵を披露させてもらいました。もうこの時には、満足感で一杯で、周りの声がスローモーションのようになっていたのです。ステージに立って動じない自分がいる。ここまで深く何かをやり遂げる事は、そうそうない。最初に参加する時にここまでの絵が描けて、っこういう状況になる事を想像できただろうか。いまだ経験した事の無い事だから、思い浮かべる事もできなかった。でも、今はこの場にいる。確実に歩いてきた道がある。それだけで次の一歩を踏み出せる。だれも未来の事は分からないし、怖いに違いない。それを認めて、踏み出す勇気。またここで再確認する事になろうとは。 様々なきっかけが重なってここまで来られたのです。この場を借りて大阪花火に関わった皆様に、ありがとうございました!とお礼申し上げます。

小さなきっかけを逃すな。一円を笑うものは一円に泣く。1秒を笑うものは1秒に泣く。小さなきっかけを笑うものは・・・。そう学べた気がします。

絵の名前は、「大阪花火4 〜線香花火〜」小さな火花がはかなく演出する世界。イベントの終わりにふさわしい、イメージになったと思います。これからこの絵の物語が始まるのです。来年も描けるかな。

終わり

三日目

[大阪花火4 〜線香花火〜]

2005、ケント紙、パステル、鉛筆、木炭

A3 297mm×420mm


出演 ミュージシャン紹介

百姓すの平

クオレ

也許文吾

井上卓

月下美人

りんどう

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